第95回箱根駅伝をそこそこ冷めた感じで戦略的な観点で分析してみた。

第95回箱根駅伝をそこそこ冷めた感じで戦略的な観点で分析してみた。:アイキャッチ

お正月の風物詩ともいわれる、箱根駅伝。実は第94回を見ながらこんな記事を書いていたことを、思い出した今日このごろである。

2019年の箱根駅伝はしかし、おもしろかった。

過去最高の視聴率を記録したのは、箱根駅伝自体がどんどんメジャーになっていることや、他の番組がそこまで強力ではなかったことなどもあるのだろうが、そのレース展開が与えた影響も大きいのではないだろうか。

その結果は、もちろん選手たちによるものなのだが、その努力や裏側についてはあちらこちらで取り上げられるだろうから、ここでは少し引いて、三強と言われた青山学院大学、東洋大学、東海大学を中心に、レース戦略について考察してみたい。

なお、これより記載する内容はあくまで筆者が知り得た範囲の情報に基づく独断と偏見による見解なので、必ずしも正確な情報や分析である保証はないことを申し添えておく。

東洋大学:前回総合2位/今回総合3位(往路1位・復路5位)

まずは前回往路優勝、昨年の出雲駅伝2位となり、青山学院大学の5連覇にストップをかける1番手と見られていた東洋大学。

近年の東洋大学は箱根駅伝ではとくに安定した成績を残しているが、とくに2018年の第94回では往路で1区で首位に立ったまま往路ゴールまで守りきり、青山学院大学の追撃をかわして往路優勝している。

おしくも6区の山下りで青山学院大学の逆転を許したものの、復路も踏ん張って2位につけた前回、4年生は1人しか走っておらず、他の9人はそのままのメンバーで臨むことも可能というのが東洋大学の強みだ。

とはいえ、三強と呼ばれる他の2チームに比べると層は薄く(といっても他チームに比べるとレベルは高いのだが)、エース級の不調やけが人が出た際が不安なのが弱みといえるだろう。

東洋大学の取りたい戦略

往路については、前回往路優勝したメンバーがそのまま残っている。あまりいじらずに前回(36秒差)より大きい差を2位につけて復路に臨みたい。5区に新たな山登りの適性ある選手が加わっていればベストだ。

復路については、新たな戦力の台頭が必要だ。とくに6区~7区はライバルに対して不利な戦いが予想される(この点は後述する)だけに、この区間をどうしのぎ、8区~9区で挽回する、あるいは突き放すことがどこまでできるか、がポイントとなる。

ちなみに、前述のとおり層が薄いことから、アンカー勝負が予想される展開は不利になる可能性が高い(他のライバルチームはアンカー勝負が予想される展開の場合、エース級を当日変更でアンカーにつぎ込めるため)。

東洋大学が取った戦略

往路は、当日変更で予想通りダブルエース(山本・相澤)を投入。この2人をはじめ、2~4区の並びが変わったものの、前回と同じ5人が走ることとなった。王道の戦略といえるだろう。

ダブルエースの配置の狙いは、力量はあまり変わらない2人の適性によるものではないかと推察する。つまり、エース同士の戦いを耐える2区と、準エース区間であり攻めたい4区の、区間適性に適った形の配置としたのではないだろうかか。

復路については、往路優勝し前回の倍の差(1分14秒)でスタートすることとなったが、前回走った4人のうち、当日変更などもあり、結果的に走ったのは2人だった(同じ区間を走ったのは6区のみ)。

これがより力のある選手の起用によるテコ入れであれば良いのだが、層の薄さゆえの苦肉の策であるならば、復路でリードを保ち総合優勝するのは厳しくなる可能性が高いだろう。

結果から見る東洋大学の戦略

結果から見れば、往路は王道の戦略で間違っていなかった、ということだ。コンディションの良さが味方した面もあるだろうが、並び順を入れ替えつつも3区までは昨年とほぼ同ペース、4区と5区が昨年より早く、結果的に2分ほど短いゴールタイムを記録している。

とくに戦略面でのカギを握ったのは、今期の駅伝での不調から心配された1区の西山、そして「攻めたい」区間であった4区の相澤。この2区間が区間賞・区間新での区間賞ということはつまり、狙いがハマったということではなかろうか。

2区で国士舘大学に前を行かれる、3区で青山学院大学のエースの爆走に遅れを取る、等いくらか想定外の状況も起こったが、結果的にはこの1区と4区の踏ん張りが効いたといえるだろう(そして実は5区も前回より相当タイムアップしているのだ)。

一転して復路は三強以外の帝京大学・駒澤大学にも遅れを取る結果となり、テコ入れというよりは層の薄さをやり繰りしていたのであろうことが推察される形となった。

6区の今西は想像以上の粘りを見せ、7区・8区までは持ちこたえたが、この展開で勝負を決めたい9区がまさかの大ブレーキ(区間19位)。

5分半後ろから走ってきた青山学院大学にも先行を許し、総合3位という結果となった。

だが前回7区3位の渡辺が走れず、代わって7区を走ったキャプテンの小笹も故障をおしての出場という状況では、戦力の層の差が露呈するのは致し方なく、戦略的にこれ以上カバーするのは難しかったのではないかと考える。

東洋大学の戦略に関するまとめ

  • 往路は王道ながらも絶妙の区間配置で優勝。戦略的にも大成功。
  • 復路は戦力差が露呈する形に。戦略的なミスというよりはやむをえないか。
  • 来期に向けてはエースが1人卒業する穴をどう埋めるかと、復路のレベルアップに対応できる戦力の育成がカギ。

 

青山学院大学:前回総合1位/今回総合2位(往路6位・復路1位)

今回の大本命、箱根駅伝5連覇、史上初となる2度目の三冠がかかっていた青山学院大学。

原監督の育成力と戦略を考えれば、他の2つの駅伝を制した今回のチームが、箱根だけ負けることは想像しづらく、優勝は間違いないと言われていた。ギャンブルすればオッズがつかないだろうとさえ…。

前回は往路で東洋大学に遅れを取ったものの6区で逆転すると、以後は後続を突き放し、最終的には2位に5分近い大差をつけての優勝。

東洋大学(9人)ほどではないが、前回優勝メンバーが7人残っており、今年ブレイクしたメンバーもいることを考えれば、そうそう負けることは考えられない層の厚さと質の高さを誇っている。

もし負けるとすれば、エースクラスが複数人走れない状況が起こる、なんらかのレース中のアクシデントが起こる、またはブレーキが複数区間において発生する、というくらいだろう(エースやブレーキについては単一区間であればカバーできる戦力がある)。

つまり戦略的にいえば、区間と選手の適性さえオーソドックスに組み合わせれば、そんなにライバルを意識する必要がないであろうと思われる。言ってしまえば横綱相撲をめざすことが勝利につながるチームだ。

青山学院大学の取りたい戦略

基本的には前回を踏襲しつつ新戦力を組み合わせていくことで問題ないだろう。往路についていえば気をつけたいのが前回東洋大学に遅れを取った1区、4区だ。

前回2区区間賞のエース森田をはじめ、他の区間は計算が立つと思われるだけに、1区、4区をいかにしのぐかがポイントだろう(往路優勝を考えると、できれば1区では先頭で渡したい)。

復路についていえば大エース下田が抜けた8区がポイントとなる。6区7区は前回区間賞・区間新の2人が並ぶだけに、(往路が優勝できなくても)この8区でレースの行方を決めてしまいたいところだ。

8区で突き放せずライバルチームと接戦になったとしても、9区10区での争いは、オーソドックスにオーダーを組めばどちらかに他校のエースクラスを置ける層の厚い自チームに有利と考えて良いだろう。

青山学院大学が取った戦略

大きな誤算が1つ生じる。エース森田が故障により直前合宿のメニューを消化できず、補欠にまわったことだ。

これにより2区の適性は必ずしも高くないと思われる梶谷を2区にまわし、なんとか間に合った森田は比較的負担の少ない3区とすることとなり、往路はオーソドックスなオーダーを組みきれない結果となった。

注目のポイントとなった1区には前回5位の鈴木ではなく、今期ブレイクした橋詰、4区には秋からとくに調子を上げた三大駅伝デビューの岩見と、区間未経験の選手を起用している。

往路で大きく出遅れ迎えた復路はオーソドックスなオーダーを組んだ。6区7区は前回区間賞・区間新の2人を起用し、8区には期待の1年生飯田、9区・10区には1万m 28:30前後の持ちタイムを持つ吉田(圭)・鈴木を起用。

森田が間に合わなかった場合には鈴木を3区に起用する可能性があったものと思われるが、そうならなかったため、復路は万全の布陣で送り出したといえるだろう。

結果から見る青山学院大学の戦略

往路は1区はほぼ想定通り、2区はやや悪かったが3区で森田が意地を見せ首位に立った。ここまでは想定通りか、あるいは想定よりも良かったくらいだろう。

ただし、ここからレースの流れは一気に暗転する。4区岩見が低体温症になったこともあり、なんと区間15位の大ブレーキで東洋大学の相澤にこの区間だけで3分半の差をつけられ、区間賞争いが期待された5区竹石も前回よりタイムを落とし区間13位にとどまった。

まさに「もし負けるとすれば」の条件(複数区間でのブレーキ)が発動してしまった形で、先頭の東洋大学から5分半の差をつけられた6位に沈んだのだ。

戦略的に見れば、原監督自身が「4区の重要性をもっと考えれば…」と悔いたように、準エース区間の4区に力を入れた配置とするべきだっただろう。

別の問題が生じることは承知のうえでいえば、鈴木を1区に再起用し4区に橋詰をまわす、あるいは鈴木を4区に持ってくる、前回7区区間新の林を4区に置くなど、選択肢は他にもいくらでもあったのだ。

あるいはこれも原監督自身の言葉を借りれば、「(結果的には)森田は2区で走れた」ということであれば、2区と4区を偵察メンバーにし、森田の調子によって2区と4区を配置する、東洋大学方式の採用もあり得た(あくまで結果論になるが、岩見についていえば、3区・7区・10区あたりで適性のある区間に配置すれば問題なかったかもしれない)。

いずれにせよ、前回は5区~8区の快進撃があったため見過ごしがちな罠であるが、4区で遅れを取っていたことをもっと真摯に反省した方が良かった、ということだ。

復路についていえば、優勝した前回より5分近く短いタイムを記録しており、やはり万全の布陣でオーソドックスにオーダーを組めば、それだけの力があるチームであることを証明する形となった。

ただ、総合優勝に向けて、ということでいえば、初の57分台を出した6区小野田、区間新となった前回とほぼ同ペースで走った7区林と区間賞を連続するも、東海大学が踏ん張り、両区間で合わせて30秒程度しか詰められていない(逆に8区までで見ると離されている)。

恐らく青山学院大学の想定よりも差が詰まらなかったはずであり、逆に想定通り差が詰まっていれば(この2区間で2~3分)、その後の区間で総合優勝を狙える可能性は高まっていたはずだ。

これも前を行く東洋大学と東海大学がデッドヒートを繰り広げたことが影響しており、往路で先行を許した結果ともいえるのだが、逆にいえば先行を許してしまうと、どれだけ力があっても、それを発揮できても、望むレース展開にはなりにくいということを示している。

どれだけ戦力があっても、戦略的に後手を踏むと勝つことが難しいという、駅伝の特性を示す好例といえるかもしれない。

戦力があろうと、層が厚かろうと、横綱相撲を目指そうと、戦略的に重要なポイントは変わらない。どう先手を取っていくかが大事なのだ。

青山学院大学の戦略に関するまとめ

  • 往路のキーポイントのひとつ、4区で失敗。5区にも連鎖し、まさかの負けパターンに。
  • 復路は戦力差を見せつけ優勝するも、総合では3分半遅れの2位までの挽回にとどまる。一旦後手を踏むと戦力があっても難しいことが証明された結果に。
  • 計算できたエース森田、6区~7区など4年生が抜ける穴をどう埋めるかが来期に向けての課題。候補はたくさんいるが、とくにエースと6区は代わりが難しく、今回ほどの働きは計算しづらい。どうなるかに注目。

東海大学:前回総合5位/今回総合1位(往路2位・復路2位)

さあ、いよいよ優勝チームの登場だ。黄金世代といわれる3年生世代を中心に戦力は豊富ながら「速いが強くない」といわれ、そろそろ期待が薄れてきていた東海大学。

青山学院大学と同じく、前回から7人のメンバーが残っているが、前回5位にとどまったことを考えれば、これが今回の成功に寄与するかどうかはなんとも言い難い。

しかしもともと、5000m、1万mだけでなく、ハーフマラソンも持ちタイムでいえばトップクラスのチームだ。しかも今年は箱根駅伝に向けて調整方法を一新し、長い距離への順応を優先してきているという。

ただ、戦力が豊富で実力のある選手がひしめいていることは、戦略的には悩みとなる。コンディションと適性を見極め、以下に最適なレース戦略を描くかが勝利のカギを握る。

東海大学の取りたい戦略

往路は前回、総じて実力に比べれば苦戦した感は否めない。

1区から4区までの平地区間を、総じて区間3位以内くらいでまとめて、5区がどうなるか、という流れには持っていきたい。そのため5区の山登りも5位以内くらいにまとめられるような、ある程度のめどを立てておきたい。

とはいえ、その目標でオーダーを組むのであれば、他チームと遜色のないタレントが揃っているため、各区間の適性にあったメンバーの配置を重視して構わないだろう(1区なら集団走が得意、ラストスパートが強い、2区ならスタミナ重視、等)。

個人的には黄金世代の中心選手である、鬼塚・關・阪口・館澤の4人を1区~4区に並べるなどという形ができれば期待が持てる。

復路については、層の厚さがものを言うのは青山学院大学と同様だ。こちらも往路と同様、適性にあったメンバーを配置してもまだメンバーは余るだろう。

特殊区間となる山下りの6区に前回区間2位の中島が控えているため、平地区間の組み合わせだけ気をつければ良いという点では、往路よりも復路の方が幾分状況が良いと考えられる。

戦略のカギを握るのが、選手の起用だ。とくに黄金世代のエースクラスの選手が万全ではない場合に起用をどうするか。エースクラスではなくても長い距離ならあまり変わらないと考えコンディションを優先するのか、そもそもポテンシャルを優先するのか。

そもそも戦力自体は青山学院大学よりも上とさえ考えられるため、コンディションを見極めた最適な配置でパフォーマンスを最大化できれば、チャンスは訪れるだろう。

東海大学が取った戦略

往路は、手堅さを重視した印象だ。1区に鬼塚を起用したものの、2区は黄金世代ではなく4年生の湯澤を起用(これは阪口や關のコンディションの影響のようだ)。

前半は耐えて、4区に置いた館澤で勝負。山登りの5区、西田がどれだけの走りをするかが重要という意味では、取りたい戦略の方向性と大きくは変わらず、むしろ取りたい戦略を取るにはエースクラスのメンバーのコンディションが整わなかったため、次善の策に切り替えている形とも考えられる。

往路2位で迎えた復路にも、關が起用されないだけでなく、松尾も当日変更で外れ、カギとなると考えられた選手の起用法については、コンディションを重視した印象だ。

前回区間2位の6区中島に加え、前回2区を走った実力者、阪口を7区に起用しており、前の東洋大学との差をこの区間でどれだけ詰められるかがカギとなる。

9区にはキャプテン湊谷が入っており、8区と10区の黄金世代の一角、小松と郡司が実力通り走れば、後半3区間でも青山学院大学にそこまで追い上げられることはないと考えられる。

そもそもエントリーに入らなかった4年の三上はじめ、エースクラスで起用できない選手が出ているものの、逆に層の厚さが際立った印象でもある。

結果から見る東海大学の戦略

取った戦略どおり、往路は手堅いタスキリレーとなった。もっとも順位が悪かった2区で区間8位、もっとも良かった4区5区が区間2位で総合2位と、これまでの東海大学のイメージからするとずいぶん安定した内容だ。

とくに5区の西田の区間新での区間2位は大きい。國學院大學のエース、浦野に区間賞こそ譲ったものの、前回区間賞の法政大学、青木を上回る走りぶり。

三強の他チームでいうと東洋大学には1分半、青山学院大学には3分半、この区間だけでアドバンテージをつくった。

往路は大成功とまでは言わないものの、エースクラスを一部しか往路に起用できなかった状況においては次善の戦略を取りきったといえるだろう。

復路については、復路優勝こそ青山学院大学に譲ったものの、まさに狙い通りの展開で文句なしではないだろうか。

全員が区間3位以内、とくに6区~7区で着実に東洋大学との差を詰め、8区小松が想定外の(東海大学としては想定どおりかもしれないが)快走で勝負を決定づけた。

総合優勝という観点では、8区が大きなカギを握る区間となっていることが、あらためて感じられる結果でもあった。

いずれにしても、戦略的にも、各選手としても「大きな失敗や誤算」がなかったことが、ベストメンバーが揃わない中でも優勝した要因ではないだろうか。

エースクラスの選手が揃っていれば、往路・復路完全優勝もあり得たかもしれない(それでも復路の青山学院大学に勝つのは相当難しいが)と思わせる、快勝だった。

東海大学の戦略に関するまとめ

  • 往路は戦略的には手堅い選択。結果としてガマンの展開をガマンしきって2位なので、エースクラスの選手がいない状況を戦略的にカバーしたといえる5区が想定上のアドバンテージになり、これが後々効くことに。
  • 復路は戦力差を生かして優位に進め、総合優勝を手繰り寄せる。戦略どおりの展開を実現できたことが勝因か。
  • 来期も8人が残るうえ、今回走れなかったエースクラスが控えているため、戦力的には問題ない。連覇のためにはコンディションが揃い、区間配置をどうするかがカギ。

その他の大学から戦略に関する注目チームをピックアップ

本当は全チーム取り上げたいのだが、ここでは、ベスト側とワースト側で注目したチームをピックアップする。

國學院大学:攻めて獲得した往路3位

往路のサプライズとなったのが前回往路14位・復路14位とある意味安定した成績でシード獲得ならなかった、國學院大學。

今回は前回1区2位のエース浦野を、あえて平地の主要区間ではなく特殊区間の山登りの5区に配置。

この配置に応えた浦野が見事という他なく、結果として区間新での区間賞を獲得し、チームを往路3位に押し上げた。

もちろん、浦野につなぐまでを6位でしのいだ4人のメンバーも期待以上の走りをしたといえるだろう。

残念ながら復路までは戦力が足りず、復路は12位だったが、総合7位で見事にシード獲得。絶妙なエースの配置が、シード獲得につながったといえるだろう。

早稲田大学:何がしたいか分からないまま三大駅伝終了

今期スランプだったのが名門、早稲田大学。

前回3位のサプライズも今回は2区以降いいところなく(4区ではキャプテンが意地の区間3位と健闘したが)、ゴール地点で中央大学との名門対決で11位を争い胸差で負けたくらいしか見どころがなかった。

5区予定の吉田の交通事故、ダブルエースの故障などの要因も重なっているが、育成・コンディショニング・戦略のすべてにおいて他チームの後塵を拝した感が否めない。

将来有望な1年生のスカウトに成功したとはいえ、その1年生を中心に据えるつもりで据えたのではなく、据えざるを得なくなったという方が正しく、三大駅伝すべてを通じ、戦略的にも何がしたいのかちぐはぐのまま終わった印象だ。

監督のコメントなどを見ても「昨年に比べて良い調子でメニューを消化している」など、3位の年と比べたコメントが出ている時点で、チームとしての方向性を疑わざるを得ない。

体制・環境・トレーニング・レース戦略などすべてにおいて根本的な改革がなければ、スランプが長期化することが予想される。

第95回箱根駅伝を戦略的な観点で分析してみて

軽い気持ちで始めたら大変なことになった(笑)。ここまで読んでいただいた方には感謝しかない。

さて、今回三強としてあげられたチームの戦略的な方向性をざっくりまとめると、以下のようなところではないだろうか。

  • 戦力の薄さをカバーするため、エースの配置を軸に先手を取りにいき攻めた東洋大学
  • 前回の反省点を生かしきれず、わずかなほころびから後手を踏み挽回しきれなかった青山学院大学
  • 手堅いレースに努め、各選手がその戦略に沿った安定した走りを見せた結果、実力に見合った結果を出した東海大学

近年の箱根駅伝の傾向としては、エースといえるレベルの選手の層が厚くなっていると思う。1万m28分台、ハーフマラソン62分台という持ちタイムの選手が、優勝を争うチーム以外にも増えている。

もちろん、いわゆるスーパーエース(今回でいうと順天堂大学の塩尻クラス)の数はそんなに増えていない。ただ一方で、優勝を争うチームのオーダーを見ると、「エース区間」にいておかしくない選手がつなぎ区間や復路に登場することもあり、総合的に全区間のレベルが上がっている印象だ。

そうするとどうなるか。「エース以外」が勝敗に及ぼす影響力、そしてエースとエース以外をどう組み合わせるのかの戦略が順位に与える影響力が大きくなる。

もちろん、シード権獲得を逃したチームは、エースクラスの走りが期待外れに終わっていたり、そもそもエースが出場できなかったチームも多く、いまだエースの影響力は大きい。

ただ、エースがダメでもまわりがカバーできる戦力の整備と戦略の構築こそが、これからますます必要になるのではなかろうか。僕は、そう感じている。

カトウマモル

セキュリティエンジニア、社内SE、社内システム&マーケティング・広報担当マネージャー、コンテンツマーケティングのコンサルタントなどを経て、現在は奄美大島でリモート幽霊社員生活を満喫中。

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