目的を適切に設定できていない、無駄なコンテンツマーケティングを行わないために。

<コンテンツマーケティングの目的8選>適切な目的設定を行うために把握するべき全体像:アイキャッチ

マーケティングにおいて重要なのは、正しい目的を設定し、その目的に向かってどのようにアプローチするかということだ。だがこれは目的設定が正しくない場合には、その後のすべてが無意味になりかねないということも意味する。

フルマラソンを走る時に、到達したい目的――つまり、ゴール――の場所を間違えていたらどうなるだろうか。42.195km全然違う方向に走った結果として得られるのは、ランナーの疲労くらいのものだろう。目的設定を間違えたまま実施されるマーケティングも、似たようなものだ。

だからこそ適切な目的を設定するのは重要なことだし、そのためにどんな選択肢があり、それぞれの選択肢が何を意味するかを把握しておくのは必要なことだ。まずは、知ることから始めよう。

売上向上をめざす2つの目的:「コンバージョン獲得」「アップセル/クロスセル」

まずは直接的な売上を意識した目的を取り上げよう。究極のところ、この後取り上げるさまざまな目的設定をも包含するのが、「売上の拡大」に結びつくはずだ。だからこれは、コンテンツマーケティング自体の目的とするよりは、各マーケティング施策・手法の行き着く先であるケースのほうが多いかもしれない。

とはいえビジネスによっては、こうした目的を設定することが適切なケースもある。通販やEコマースなどは特に取り組みやすい分野かもしれない。

ただし、売上に重きを置きすぎると、コンテンツがその力を発揮しない状況が生まれる可能性がある。ユーザーは賢い。売上を上げるために作られたコンテンツだということを読み取られてしまうと、逆効果になる可能性もある。

売上を目的に置く場合でも、「ユーザーにとって価値のあるコンテンツを提供する」ということがより重要だ。そのバランスをいかに取るかが、腕の見せどころになるだろう。

売上向上をめざす2つの目的:「コンバージョン獲得」「アップセル/クロスセル」:イメージ

1. コンバージョン獲得

この目的は、「コンテンツを通じて購買意欲を促進し、直接的な行動に結びつけること」と定義できるかもしれない。コンバージョン獲得において重要なのは、「コンバージョンポイントの設定」と「コンテンツからコンバージョンの導線設計」の2点だ。

特に売上の拡大を意識した場合は、最終的にはコンバージョンは「購入」「申込」「インストール」などの直接的なコンバージョンポイントになるだろう。だが、その前のポイント、たとえば「資料請求」や「無料トライアル」などといったポイントを設定することが、より売上の最大化につながる場合もある。

というのも、直接的なコンバージョンポイントだけの設定では、コンテンツからは遠い、ということが起こり得るからだ。そうすると、コンテンツからコンバージョンさせようとしても、不自然で無理のある導線を配置し、無理やりつなぐことになる。

その状態で、果たしてコンバージョン獲得が最大化できるだろうか?売上拡大に寄与することが期待できるだろうか?

この目的を設定する場合、全体をどのように設計し、コンテンツをどのようにコントロールしていくかが、成功するためのポイントといえるだろう。

2. アップセル/クロスセル

この目的は、「顧客に対しコンテンツを通じて、リピート購入や異なる商品の購入を促すこと」だ。目の前の売上ももちろんだが、将来を見据え、LTVを最大化する観点で、地道にコンテンツを通じて顧客とコミュニケーションをとることが重要となる。

「アップセル/クロスセル」が目的の場合、コンテンツを通じて、「いつ、何を」知ってもらうのかが重要になる。

「いつ」知ってもらうかについて言えば、ベストなのは「いつでも、顧客が望むタイミングで」情報に接触できるよう、継続的なアプローチを行っておくことだ。ただ、頻度が高すぎると逆効果となる場合があり、接触のタイミングをコントロールする必要があるだろう。

ここが難しいところで、ユーザーは基本的にわがままだ。「自分が見たいタイミングで見れること」が価値となるので、同じように毎日メルマガを送っていても迷惑メール同様の扱いになる時と、またそれにより悪印象の原因となる場合と、あるいは逆に、ちょうど良いタイミングとなる場合が起こり得るのだ。

そして「何を」だが、これはすでに顧客が対象である以上、一定のデータはあなた(もしくは、あなたの属する組織)が有しているはずだ。そのデータに基づき、適切な商品へとつながるコンテンツと接触するよう促せば良い。

単純なことだが、逆にここをしっかりと設計できていないと、どれだけ良いタイミングを掴んだとしても無駄に終わってしまいかねないので、十分注意が必要だ。定期的にデータを分析し、誰に何を伝えることが適切なのか、シナリオを明確にすると良いだろう。

見込み客を軸とした2つの目的:「リードジェネレーション」「リードナーチャリング」

新たな顧客を得ることは、マーケティングにおいて重要なポイントのひとつだ。そして、この目的はコンテンツマーケティングにおいてもっともオーソドックスな目的といえる。

なぜなら、コンテンツを通して「出会い」「関係を育てていく」ことは、まさにコンテンツマーケティングそのものだからだ。したがって、この目的は非常に相性が良く、取り組みやすいし、取り組みの事例も多い。

今から本格的にコンテンツマーケティングに取り組むのであれば、まずはこうしたオーソドックスな目的を設定し、小さな成功を積み重ねて成果をあげていくのが良いだろう。

見込み客を軸とした2つの目的:「リードジェネレーション」「リードナーチャリング」:イメージ

3.リードジェネレーション(見込み客の創出)

コンテンツを通じて「新たなユーザーと出会い、見込み客になってもらう」こと。この目的は、コンテンツにも明確な役割が設定できる。

つまり、「新たなユーザーと出会う」ためには「コンテンツが新たなユーザーに届く」ことが必要で、「見込み客になってもらう」ためには「コンテンツがユーザーに価値を提供する(役立つ、好感を持てる)」ことが必要なのだ。

この目的を設定した場合、「新たなユーザーと出会う」だけでは目的を果たせたことにはならない、ということを理解し取り組むことが重要だ。

リーチが広がる、PVやユーザー数が増える――こうした点は定量化しやすく、KPIとしても設定されやすい。取り組みの初期においては、その点に意識とリソースを集中させることが適切かもしれない。

だが、どれだけリーチできていても、「見込み客の創出」につながっていなければ、そのリーチに意味はあるのだろうか?その観点を忘れずに取り組みを進めていかなければ、設定した目的自体が意味を失うことさえあり得るのだ。

リードジェネレーションを成功させるためには、出会うことと見込み客になってもらうことの双方を成し遂げなくてはならない。

4.リードナーチャリング(見込み客の育成)

リードジェネレーションによって出会った見込み客が顧客になるよう、カスタマージャーニーを進んでいくのを手助けするのが、この目的の意味するところだ。だが、ユーザーはもう、マーケティングの世界から放たれる数多のメッセージには飽きているし、浴び続けている情報にうんざりしている。

だから、無理に育てよう、顧客にしよう、買わせようとすると――たいていはうまくいかず――せっかく出会えた見込み客に離れられてしまうリスクがある。そう、あなたは辛抱強く待たなければならない。

じっと、見込み客である彼らの役に立つようような、価値のある情報を発信しつづけ、彼らの心の中に潜んで、いつか来る、「買いたい」「買おう」というタイミングが訪れたときに、あなたの会社を、あなたの商品を、選んでもらえるようにすることが、この目的において重要なことだ。

この目的については、KPI設定などが課題となりがちだろう。実はシンプルに、見込み客とどれだけコンテンツを通じて接点を作れているかを考えるべきなのだが、実際には、どれだけホットリードにできたか、アクションを生んだかなどを定量化しようとするケースが多いだろう。

もちろん、それはそれで追うべき指標であるのだが、「買う(ホットリードになる)」タイミングを決めるのはマーケターでもセールスマンでもなく、顧客だ。どんな指標を追うか、目標数値をどう置くかは自由だが、この真実は忘れてはいけない。

多くの場合、自社やマーケターがコントロールできる部分に対する適切な目標を置くことのほうが賢明で、結果として目的を果たすうえで有意義だろう。

ブランドを意識した2つの目的:「ブランド認知」「ソートリーダーシップ」

コンテンツは、ブランドのストーリーやメッセージを伝えるうえで有用だ。コンテンツを通じてコミュニケーションを図ることで、あなたのブランドについて、より広く伝えることができるし、より理解されやすくなり、コンテンツに接したユーザーはあなたのブランドに親近感を覚えるようになるだろう。

また、コンテンツが生み出す影響力は、ブランド価値の向上に結びつくことがある。コンテンツを発信することそのものが、業界内外への影響力を高め、業界のリーダーとしてのブランドを形作ることに貢献する場合もある。

ブランディングにおいてコンテンツを活用することは、今に始まったことではなく、もともと行われてきていることでもある。そのため、こうした目的でコンテンツマーケティングに取り組むケースはポピュラーだといえるだろう。

ブランドを意識した2つの目的:「ブランド認知」「ソートリーダーシップ」:イメージ

5.ブランド認知

ブランド認知においては、「ブランドと接触すること」と「ブランドを認知すること」を区別して考える必要がある。

ブランドと接触するだけでは、そのブランドが何者なのか、認知するには至らないケースがある。「名前を目にしたことはあるが、なにかは分からない」状態では、ユーザーのなかにブランドイメージが形成されていない。したがって、――もちろん知られていないよりは良いのだが――ブランド認知の観点からいうと、不十分な状態といえる。

そう、ブランド認知の目的において、コンテンツが広告よりも有用なのは、まさに「ブランドを認知するための理解を促すこと」だ。

このためには、ターゲットの設定、そしてターゲットとのタッチポイントとそのポイントで理解してもらいたい内容、そのために適切なコンテンツを結びつけた設計を行った上で、コンテンツを発信する必要がある。

そうして、コンテンツによるブランド認知を進めたうえで、継続的にユーザーと接触するために広告を組み合わせることにより、「認知したブランドを思い出す」機会を作っていくことにより、あなたのブランドの価値は向上していくにちがいない。

6.ソートリーダーシップ

これは言い換えると、業界内でリーダーシップを取ること、そのための影響力を持つことを目的として設定することだ。

コンテンツによって、正確で適切な情報を、継続的に発信し、ユーザーに価値を提供していくことは、あなたのブランドの認知だけでなく、ブランドの地位を向上させる。そうして、あなた(とあなたのブランド)が発信する情報が、業界を代表するものとなっていけば、この目的は果たされることになる。

たとえば、日本の企業会計の世界は分かりやすい。会計基準や法令が変更される時、まず企業も会計士たちも――つまり、業界内外の関係者は――ソートリーダーである4大監査法人からなんらかの見解が発信されるのを見守っている。

そして、これらの大規模監査法人の見解が、変更された会計基準や法令に対する、企業や現場の対応方針や実務の方向性を決定する。もちろん、監査法人間で見解が相違することや、会計士によって対応が異なるケースが出ることはあるが、大枠を決めるのはソートリーダーの見解や対応だ。

ソートリーダーシップを持つというのは、この4大監査法人のようなポジションを、あなたの業界内であなたの会社がとるということを意味する。

そしてこのためには、質の高いコンテンツを継続して発信することが必要であり、妥協のない運用が必要となる。しかしこのソートリーダーとして認知されることはブランディング上非常に価値が大きいことであり、コンテンツを通じて挑む価値のある目的だ。

関係性を重視した2つの目的:「エンゲージメント」「顧客のロイヤリティ向上」

見込み客やファンの獲得、売上の拡大などに向けて、「関係性の構築・維持・向上」を図ることがコンテンツマーケティングの目的となる場合もある。

コンテンツを通じてターゲットユーザーとの関係性を育てていくのは、まさにコンテンツマーケティングそのものであり、これらの目的がコンテンツマーケティングとの親和性が高いのはいうまでもない。

一方で、関係性は目に見えるものではなく、数値で測れるものでもないため、KPIの設定や進捗の確認、目標と現状の分析などが難しくなる傾向があるのもたしかだ。PDCAなどの運用イメージを明確にした上で、取り組むことが必要となるだろう。

関係性を重視した2つの目的:「エンゲージメント」「顧客のロイヤリティ向上」:イメージ

7.エンゲージメント

エンゲージメントを目的とする場合は、「ターゲット」と「エンゲージメントできている状態」の定義が必要となるだろう。

ターゲットについてはいわずもがなだが、ターゲットごとに「エンゲージメントできた状態」を定義していくことで、ジャーニーを辿って徐々に関係性を深めていくことができるだろう。

たとえば「認知段階」のユーザーとはどのように、どこまで関係性をつくりあげれば良いのだろうか?それは、次のステップ――たとえば、興味を持ってもらうこと――に進みたいとユーザー自身が感じるようになることだろうか?それとも、次のステップを意識するのではなく、継続的にコミュニケーションを取ることによって、「忘れないでいてもらう」ことができれば十分だろうか?

エンゲージメントを目的とする場合、このようなひとつひとつのパターンを精査し、定義していくことが重要だ。そうしないと、「エンゲージメント」という言葉に踊らされ、なんとなくユーザーとは関係性ができているから大丈夫だろう、というあいまいな状態が生まれてしまう。

「ターゲット」と「エンゲージメントできている状態」、そしてエンゲージメントが高まっていくことにより、どんな世界ができるのか。事前にその未来予想図を描くことこそが、コンテンツマーケティングを通じてエンゲージメントを成功させるカギとなるだろう。

8.顧客のロイヤリティ向上

エンゲージメントとも近い概念であるが、より顧客にしぼった形の目的が「顧客のロイヤリティ向上」だ。これには、リピートの獲得とそれによるLTV最大化が、これまでのマーケティングにおいて見過ごされがちであった分野であることが関係している。

これまでのマーケティング施策では、既存顧客と新規顧客の区別をつけることが難しいケースが多かった。たとえば、マス広告を既存顧客と新規顧客で出し分けることができるだろうか?

しかしコンテンツマーケティングはこの分野に強みを発揮する。つまり、すでに接触できる顧客に、顧客向けのコンテンツを通じて継続してコミュニケーションをとることで、再び思い出してもらい、購入してもらうきっかけを作ることができるのだ。

このサイクルを作り上げることができれば、LTVを最大化するためにコンテンツマーケティングは不可欠なものとなるし、コンテンツはユニークな価値を持つことになるだろう。

ただし、どれだけ優れたコンテンツが揃っていても、肝心の商品がリピートしたいと思えるものでなければ、顧客のロイヤリティを得、リピートしてもらうことを期待するのは難しい。すべては商品によって与えられる体験次第、商品こそが重要なコンテンツとなるということを忘れないようにしよう。

適切な目的設定のために

適切な目的設定のために:イメージ

よくあげられるコンテンツマーケティングの目的について解説してきたが、今回、日本でよくあげられる、SEOやトラフィックの獲得は含めていない。これはレイヤーが違い、目的として設定するには不適切だという考えからだが、この話はまた別の機会に述べたいと思う。

ここで述べたことが選択肢のすべてではないが、基本ともいえるこれらの内容をまずは正しく理解することが重要だ。

どの目的も無視できるものではないが、優先順位やコンテンツマーケティングに特に期待する点が何なのかは明確にしなければならない。実際に目的を設定する際には、全体のマーケティング戦略や他の施策との関係性によって、最優先される目的や、その他の目的、一旦は目的に置かないものを分類していくことになるだろう。

コンテンツマーケティングの目的として優先するものが決まったら、各施策がどのように結びつくのかをきちんと設計しよう。こうして、目的と目的達成への設計がしっかりなされていることこそ、コンテンツマーケティングを成功させる第一歩となるのだ。

カトウマモル

セキュリティエンジニア、社内SE、社内システム&マーケティング・広報担当マネージャー、コンテンツマーケティングのコンサルタントなどを経て、現在は奄美大島でリモート幽霊社員生活を満喫中。

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